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日本経済は1-3月期にマイナス成長に陥り、3期連続で成長が見られない状況となっている。物価高の影響で個人消費の低迷が続く中、既に「スタグフレーション(景気停滞下のインフレ)」状態に入りつつあるとの見方も出ている。
ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査部長は、「日本経済はスタグフレーション的と言える」とし、「成長はあまりしていないのに、物価は高水準で上がっている」と指摘。景気の弱さの最大の要因である消費停滞の背景として、家計の実質所得が減少し、貯蓄率も低下していることを挙げた。
日本経済は後退局面に入ったわけではないものの、長引く物価高で家計が圧迫され、景気に力強さは見られない。個人消費は4四半期連続で減少し、2009年以降で最も長い停滞局面となっている。
こうした状況下での利上げは円安圧力を緩和してインフレを和らげる可能性があるものの、既に低迷している経済の重しになりかねない。日本銀行の植田和男総裁は、円安が基調的な物価に影響するリスクが高まれば「金融政策上の対応が必要になる」としているが、マイナス成長を受けて一段と難しいかじ取りを迫られそうだ。
内閣府が16日発表した1-3月期の実質国内総生産(GDP)速報値は前期比年率2.0%減と2期ぶりのマイナス。認証不正が発覚した一部自動車メーカーの大幅減産の影響が主因だが、約6割を占める個人消費は前期比0.7%減と市場予想の0.2%減を下回り、15年ぶりの4四半期連続マイナス。昨年10-12月期の実質成長率も年率0.4%から横ばいに下方修正された。
植田総裁は4月の金融政策決定会合後の会見で、個人消費の先行きについて、名目賃金の強さとコストプッシュ圧力の減退に伴うインフレ率の鈍化によって「消費がもう少し強い動きを示していくというところについて期待感を持っている」としていた。
大和証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストはリポートで、個人消費について「物価高による影響は、引き続き日用品の停滞感に現れている」と節約志向の強まりを指摘。その上で日銀の金融政策運営に関して「当面、企業収益、価格転嫁力、賃金、サービス価格の動向を点検していくことになる」との見方を示した。
今回のマイナス成長は個人消費を含めて特殊要因で下押しされている面があり、大半のエコノミストは4-6月にプラス成長に転じるとみている。33年ぶりの高水準の賃上げや6月から実施される定額減税などが消費の回復につながると予想されている。
ただ、今後の消費に関して斎藤氏は、「実質賃金の上昇は最低条件だが、それで実際に消費を増やすかどうかはまた別の問題だ」とし、「リスクはある」との見方を示した。