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今回は、不動産投資にあたって金融機関が融資を審査する上で重要な物件の評価方法「積算評価」と、そこから導き出される「積算価格」について説明したいと思います。
●積算価格は金融機関による担保評価の参考に
「積算評価」は、土地と建物の「現在」の評価額をそれぞれ計算し、足し上げることで算出する評価方法です。算出額は「積算価格」と呼ばれ、金融機関が融資の担保価値をはかる上で、非常に重要です。
金融機関は基本的に、融資を受ける人の「属性」(職業、勤務先、年収、保有資産などの経済的状況)と「積算価格」を見ながら融資額を決めていきます。もし、融資を受けた人が返済できなくなれば、金融機関は物件を売却することで、貸したお金を取り戻さなければなりません。
路線価とは、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートルあたりの価額のことです。毎年7月1日に国税庁から、その年の1月1日時点の価額が発表されています。
一方、再調達価格とは、その建物をもう一度、新たに建て直したとき、現在の価値で1平方メートルあたりどれくらいの費用がかかるかの目安です。
建築に必要な資材の値段が異なるので、建物の構造によって再調達価格は違ってきます。構造それぞれの再調達価格の目安はおおむね、SRC造、RC造が20万円、重量鉄骨造が18万円、木造、軽量鉄骨造が15万円程度となっています。
ただ、これらの再調達価格はあくまで目安で、金融機関ごとに異なってくるので注意が必要です。
えば、築20年のRC造マンションを購入すると仮定します。土地面積は400平方メートル、建物の延べ床面積は500平方メートルとします。場所は、東京都目黒区(路線価=1平方メートル50万円)です。
こうしますと、土地の評価額は「路線価50万円×400平方メートル=2億円」になります。
建物の評価額は「再調達価格20万円×500平方メートル(法定耐用年数47年ー築年数20年)÷法定耐用年数47年=約5745万円」です。
こうなりますと、この物件の積算価格は、「2億円+約5745万円=約2億5745万円」と算出できます。
もちろん、この額がそのまま融資限度額となるわけでなく、金融機関は、立地などの条件も総合的に踏まえながら決めていくことになります。
ちなみに、たとえば地方で路線価5万円の場所に同じ条件のマンションを買ったとすると、土地の評価額は「路線価5万円×400平方メートル=2000万円」で、積算価格は「2000万円+約5745万円=約7745万円」となります。
土地に関しては、郊外や地方に行くほど、積算価格のほうが実際の取引価格より高くなる傾向があるといわれています。逆に都心になればなるほど、実際の取引価格のほうが積算価格より高くなるとされています。
●「高・積算価格」イコール「良・物件」ではない
一つ投資家が注意しなければならないのは、積算価格が高いからと言って、必ずしも良い物件ではないということです。入居者が入るかどうかは立地などにもよりますし、たとえば築年数のたったRC造のマンションは、大規模修繕の時期がすぐ来て、費用が大きなものになります。
総合的な収益性をしっかり考えながら、綿密に賃貸経営戦略を練っていく必要があります。